資金繰り改善の鍵！建設業におけるファクタリング併用の効果と注意点

「あの現場、早く請求できればなぁ…」

「資金繰りが厳しくて、次の現場の着工金が払えない…」

建設業を営む皆様なら、一度はこのような悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか？

建設業は、完成工事高に応じて収益が発生するものの、資金回収が遅れがちな業界です。特に、近年はコロナ禍の影響もあり、資金繰りに頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか？

そこで注目を集めているのが「ファクタリング」です。ファクタリングは、売掛債権をファクタリング会社に売却することで、早期に資金調達ができるサービスです。しかし、ファクタリングにもメリット・デメリットがあるため、利用する際には注意が必要です。

本記事では、建設業における資金繰りの現状と課題を整理した上で、ファクタリングの特徴やメリット・デメリット、さらにファクタリングと相性の良い資金調達方法との「併用」について詳しく解説していきます。

建設業の資金繰りの現状と課題

国土交通省の「建設業動態統計調査」によると、2022年度の建設業の完成工事高は、54兆円を超え、日本のGDPの約1割を占める基幹産業です。しかし、その一方で、約35万社ある建設業者のうち、約99％が中小企業であり、慢性的な人手不足や資金繰りの厳しさなど、多くの課題を抱えています。

特に、建設業特有の商慣習である「末締め翌々月払い」や「手形決済」は、資金回収までの期間が長くなり、資金繰りを圧迫する大きな要因となっています。例えば、1月に工事が完了しても、実際に資金が入金されるのは4月以降になることも珍しくありません。このような状況下では、次の現場の着工金や従業員の給与の支払いに支障をきたす可能性もあり、事業の安定的な成長を阻害する要因となりかねません。

ファクタリングとは？

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、早期に資金調達を行う方法です。具体的には、企業がファクタリング会社に売掛債権を売却すると、ファクタリング会社は債権額から手数料を差し引いた金額を企業に支払います。その後、ファクタリング会社が取引先に請求を行い、取引先から入金を受けるという流れになります。

ファクタリングは、銀行融資のような担保や保証人が不要なケースが多く、審査期間も短い点が特徴です。そのため、資金調達のスピードが求められるケースや、担保や保証人を用意することが難しい中小企業にとって、有効な資金調達方法の一つと言えるでしょう。

建設業におけるファクタリングのメリット・デメリット

ファクタリングは、建設業にとって多くのメリットをもたらす資金調達方法ですが、一方でデメリットも存在します。ファクタリングの利用を検討する際には、メリット・デメリットを正しく理解しておくことが重要です。

メリット

• 資金調達までのスピードが速い：銀行融資と比較して、審査期間が短く、最短即日で資金調達が可能となるケースもあります。急な資金需要にも対応できるため、資金繰りの柔軟性を高めることができます。
• 担保や保証人が不要：銀行融資では、原則として担保や保証人が必要となりますが、ファクタリングは売掛債権を担保とするため、原則として担保や保証人が不要です。
• 財務体質の改善：ファクタリングを利用することで、売掛債権が現金化され、貸借対照表上の「現金及び預金」が増加します。その結果、自己資本比率が向上し、財務体質の改善を図ることができます。

デメリット

• 手数料が発生する：ファクタリング会社に支払う手数料が発生します。手数料は、ファクタリング会社や契約内容によって異なり、一般的には2〜20%程度です。
• 取引先にファクタリングの利用を知られる可能性がある：ファクタリング会社から取引先に債権譲渡の通知が行くため、取引先にファクタリングの利用を知られる可能性があります。ただし、2社間ファクタリングを利用すれば、取引先に知られることなく資金調達を行うことが可能です。

ファクタリング併用で資金繰り改善！

ファクタリングは、それ単体でも有効な資金調達方法ですが、他の資金調達方法と「併用」することによって、より効果的に資金繰りを改善することができます。ここでは、ファクタリングと相性の良い資金調達方法を2つご紹介します。

1. ビジネスローンとの併用

ビジネスローンは、銀行やノンバンクが提供する事業者向けの融資制度です。ファクタリングと比較して、金利が低く、長期の資金調達が可能というメリットがあります。ただし、審査期間が長くなる傾向があり、担保や保証人が必要となるケースもあります。

ファクタリングとビジネスローンを併用する場合、例えば、すぐに必要な資金はファクタリングで調達し、中長期的に必要な資金はビジネスローンで調達するといった使い分けが考えられます。このように、それぞれの資金調達方法の特徴を理解した上で、自社の資金需要や状況に合わせて最適な方法を組み合わせることが重要です。

2. 助成金・補助金との併用

助成金・補助金は、国や地方公共団体が、中小企業の事業活動を支援するために給付する資金です。返済不要という大きなメリットがありますが、申請手続きが煩雑で、採択されるまでに時間がかかるというデメリットもあります。

ファクタリングと助成金・補助金を併用する場合、例えば、助成金・補助金の申請を行いながら、採択されるまでの間はファクタリングを利用して資金繰りを賄うといった方法が考えられます。助成金・補助金は、採択されるとまとまった資金を獲得できる可能性があるため、ファクタリングと併用することで、より安定した資金繰りの実現を目指せるでしょう。

まとめ

今回は、建設業におけるファクタリング併用の効果と注意点について解説しました。ファクタリングは、スピード感を持った資金調達が可能となり、資金繰りの改善に大きく貢献する可能性を秘めています。ただし、手数料や取引先に知られる可能性など、デメリットも存在することを理解しておく必要があります。

ファクタリングの利用を検討する際は、複数のファクタリング会社を比較し、手数料や契約内容などをしっかりと確認することが大切です。また、他の資金調達方法との併用も視野に入れ、自社の資金需要や状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。

資金繰りの悩みを解消し、事業の成長を力強く推進していきましょう！