総合評価方式の施工計画で勝率UP！事例から学ぶ評価ポイントと提案のコツ

近年、公共工事の入札において、価格競争だけでなく、技術力や提案力を評価する「総合評価方式」が主流になりつつあります。特に、施工計画は評価の大きなウェイトを占めることが多く、受注を勝ち取るためには、質の高い提案が求められます。しかし、「総合評価方式に対応した施工計画の立て方がわからない」「他の企業はどんな提案をしているのか知りたい」という方も多いのではないでしょうか？

そこで今回は、総合評価方式の施工計画について、評価ポイントや具体的な事例を交えながらわかりやすく解説していきます。さらに、勝率を上げるための提案のコツもご紹介しますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

総合評価方式とは？

総合評価方式とは、価格だけでなく、技術力や提案力、企業の信頼性などを総合的に評価して、最も優れた企業を選定する入札方式です。従来の価格競争中心の入札制度では、受注企業の選定において価格が最優先されるため、受注企業は利益を確保するために品質を犠牲にする可能性がありました。その結果、公共工事の品質低下や、ダンピングによる建設業者の経営難などが問題視されてきました。

そこで、価格以外の要素も考慮して、より質の高い公共工事の実現を目指すために導入されたのが総合評価方式です。総合評価方式では、価格以外の評価項目として、技術提案や企業の技術力、施工体制、地域貢献などが挙げられます。これらの評価項目は、発注機関や工事内容によって異なりますが、いずれも、より良い工事を行うために必要不可欠な要素と言えるでしょう。

施工計画の評価ポイント

総合評価方式における施工計画の評価ポイントは、発注機関や工事内容によって異なりますが、一般的には以下の点が重視されます。

1. 施工の確実性

工事の工程、品質、安全などを総合的に考慮し、確実に工事を完成できるかどうかが評価されます。具体的には、工程管理、品質管理、安全管理、環境対策などの計画が適切に立てられているか、リスク管理体制が整っているかなどが審査されます。工事の目的や内容を理解し、実現可能な計画を立案することが重要です。

2. 技術力の高さ

施工計画にあたり、最新の技術や工法、創意工夫を取り入れることで、より安全で高品質な工事を目指せるかが評価されます。具体的には、従来工法と比較して、工期短縮、コスト削減、品質向上、環境負荷低減などの効果が見込める提案が求められます。過去の施工実績や保有資格などを活用し、自社の技術力をアピールすることが重要です。

3. コストパフォーマンス

限られた予算の中で、最大の効果を発揮できる施工計画であるかどうかが評価されます。単に工事費用を抑えるだけでなく、品質や工期とのバランスを考慮する必要があります。VE提案などを実施し、コスト削減と品質向上を両立できる提案が効果的です。

【事例で解説】評価される施工計画

ここでは、具体的な事例を挙げながら、評価される施工計画の特徴を解説していきます。これらの事例を参考に、自社の提案に活かせるポイントを探してみましょう。

事例1：ICTを活用した効率的な施工

道路改良工事において、ICT建機や3Dデータなどを活用することで、従来工法と比較して大幅な工期短縮とコスト削減を実現した事例です。具体的には、ドローンによる測量、3Dデータによる設計・施工計画、ICT建機による自動制御施工などを導入することで、人為的なミスを減らし、効率的で高精度な施工を実現しました。その結果、工期を20%短縮、コストを15%削減することに成功し、高い評価を得ています。

事例2：地域住民への配慮

橋梁建設工事において、工事による騒音や振動を最小限に抑えるとともに、周辺住民への丁寧な情報提供を心がけることで、地域住民の理解と協力を得ながら工事を進めた事例です。具体的には、低騒音・低振動型の建設機械の導入、防音シートの設置、工事の時間帯の調整、地域住民への説明会の開催などを実施することで、工事による周辺環境への影響を最小限に抑えました。その結果、近隣住民からの苦情もなく、円滑に工事を進めることができ、高い評価を得ています。

事例3：環境負荷の低減

河川護岸工事において、自然石や間伐材などの自然素材を活用することで、環境負荷の低減と景観との調和を図った事例です。具体的には、コンクリートの使用量を減らし、自然石や間伐材を積極的に利用することで、CO2排出量を削減し、周辺環境への影響を最小限に抑えました。その結果、環境に配慮した施工として、高い評価を得ています。

勝率UP！施工計画の提案で差をつけるコツ

総合評価方式で受注を勝ち取るためには、他の企業との差別化を図り、自社の強みをアピールする必要があります。ここでは、施工計画の提案で差をつけるためのコツをご紹介します。

1. 発注機関のニーズを徹底的に分析する

総合評価方式では、発注機関は単に安いだけの工事ではなく、「より良い工事」を求めています。そのため、入札公告や設計図書などを注意深く確認し、発注機関のニーズや課題を明確にすることが重要です。例えば、「工期を短縮したい」「コストを抑えたい」「環境に配慮した工法を採用したい」など、発注機関の要望を把握することで、より具体的な提案を行うことができます。

2. 図表や写真などを活用し、わかりやすく説明する

施工計画は、審査員に理解しやすいように、図表や写真などを活用してビジュアル的に説明することが重要です。例えば、工程表、施工図、完成予想図などを用いることで、施工のイメージを具体的に伝えることができます。また、写真や動画などを活用することで、自社の技術力や実績をアピールすることも効果的です。わかりやすく説得力のある説明資料を作成することで、審査員の印象に残る提案を目指しましょう。

3. 独創的なアイデアや技術を積極的に提案する

総合評価方式では、価格競争だけでなく、技術力や提案力も重要な評価ポイントとなります。そのため、従来の工法にとらわれず、独創的なアイデアや技術を積極的に提案することで、高い評価を得られる可能性があります。例えば、ICTを活用した効率的な施工管理システム、環境負荷を低減する新技術、地域貢献につながる取り組みなどを提案することで、他の企業との差別化を図ることができます。ただし、実現可能性の低い提案は逆効果になる可能性もあるため、注意が必要です。

4. コスト縮減と品質向上を両立させる

総合評価方式では、コストパフォーマンスも重要な評価ポイントとなります。そのため、単に工事費用を抑えるだけでなく、品質や工期とのバランスを考慮した提案が求められます。VE提案などを実施し、コスト縮減と品質向上を両立させることで、高い評価を得られる可能性があります。例えば、資材の調達方法を見直す、工程管理を徹底することで無駄を省く、など、具体的なコスト削減策を示すことが重要です。

5. 過去の施工実績をアピールする

総合評価方式では、企業の信頼性も重要な評価ポイントとなります。そのため、過去の施工実績をアピールすることで、発注機関に安心感を与えることができます。特に、類似工事の実績があれば積極的にアピールしましょう。その際、単に工事概要を羅列するのではなく、どのような課題をどのように解決したのか、具体的なエピソードを交えて説明することで、より説得力が増します。また、表彰実績などがあれば、合わせてアピールするのも効果的です。

まとめ

総合評価方式の施工計画で高評価を得るためには、発注機関のニーズを徹底的に分析し、実現可能な範囲で、創意工夫を凝らした提案を行うことが重要です。今回の記事でご紹介したポイントを踏まえ、自社の強みを最大限にアピールできるような、質の高い施工計画の作成を目指しましょう。