建設業の残業問題に終止符を。36協定の猶予期間はもはや過去のもの

「現場が忙しい時期はどうしても残業が多くなってしまう…」

建設業界では、長らくそんな声が聞かれてきました。人手不足、工期の短縮、天候に左右される作業など、残業が発生しやすい要因は数多く存在します。しかし、働き方改革関連法の施行により、残業時間の上限規制が強化され、建設業界もその例外ではありません。

これまで猶予期間が適用されていた中小企業も、2024年4月からは時間外労働の上限規制が適用されます。つまり、猶予期間に頼ることなく、36協定に基づいた適正な残業時間管理が求められる時代へと突入したのです。違反企業には厳しい罰則も科せられるため、早急な対応が必要です。

猶予期間終了、建設業界への影響は？

2024年4月以降、建設業における36協定の猶予期間は完全に撤廃されます。これは、これまで猶予期間に甘んじてきた中小規模の建設業者にとって、大きな転換期を迎えることを意味します。

「猶予期間が終わったら、一体どうなるんだ？」

多くの経営者の方が抱える不安も当然でしょう。しかし、この変化は決してマイナスなものばかりではありません。むしろ、これを機に、業界全体で働き方改革を推進し、より魅力的な職場環境を築き上げるチャンスと捉えるべきです。

36協定とは？改めて理解を深めよう

36協定とは、労働基準法第36条に基づき、時間外労働をさせる際に、労使間であらかじめ残業時間の上限や割増賃金について取り決めた協定のことです。この協定を締結することで、初めて残業をさせることが認められます。

建設業では、天候や工程の都合で突発的な残業が発生することもあります。しかし、どんな状況であっても、この36協定を締結し、法定労働時間を超える労働時間に対しては、割増賃金を支払わなければなりません。

猶予期間終了後、建設業はどうすればいいのか？

猶予期間終了後も、建設業が生き残っていくためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

1. 生産性向上による残業時間の削減

• 業務の効率化：IT化やICT建機の導入など、最新技術の活用により、業務の効率化を図りましょう。
• 工程管理の徹底：工程表の作成や進捗管理システムの導入など、適切な工程管理を実施し、無駄な残業を削減しましょう。
• 外注の活用：自社で抱えきれない業務は、積極的に外部に委託することで、従業員の負担を軽減しましょう。

2. 労働時間管理の徹底

• 労働時間記録システムの導入：従業員一人ひとりの労働時間を正確に記録し、適切な残業時間管理を行いましょう。勤怠管理システムの導入も有効です。
• 労務管理体制の強化：専任の担当者を配置するなど、労務管理体制を強化し、法令遵守を徹底しましょう。

3. 働きやすい職場環境づくり

• 休暇取得の推奨：年次有給休暇の取得を促進するなど、従業員が休暇を取得しやすい環境を整えましょう。
• 柔軟な働き方の導入：テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方を導入することで、従業員のワークライフバランスを支援しましょう。

猶予期間終了は、建設業界にとって大きな試練となります。しかし、ピンチをチャンスに変え、働き方改革を断行することで、企業の競争力を高め、より魅力的な業界へと発展させていきましょう。