【施工計画のプロが解説】地盤改良の基礎知識と成功事例を紹介

「家は一生の買い物」とはよく言ったもので、誰もが安全で快適な暮らしを送りたいと願うもの。しかし、その夢のマイホームを建てる上で、意外と見落としがちなのが「地盤」です。どんなに立派な建物を建てても、それを支える地盤が弱ければ、不同沈下などの思わぬトラブルに見舞われる可能性も。そこで今回は、建物の安全性を左右する「地盤改良」の施工計画について、基礎知識から成功事例まで、わかりやすく解説していきます。

地盤改良とは？その目的と重要性を解説

地盤改良とは、その名の通り、軟弱な地盤を人工的に改良し、建物を支えるのに十分な強度を持たせる工事のことです。建物の重さや構造、そして地盤の状態は千差万別。そのため、適切な地盤改良を行うことは、建物の安全性と耐久性を確保するために必要不可欠と言えるでしょう。

地盤改良を怠ると、不同沈下により建物に傾きや亀裂が生じたり、最悪の場合、倒壊の危険性も。このような事態を避けるためにも、地盤改良は決して軽視できない工程なのです。

地盤改良が必要なケースとは？

では、具体的にどのような場合に地盤改良が必要となるのでしょうか？代表的なケースをいくつかご紹介します。

1. 軟弱地盤の場合

沼地や田んぼを埋め立てた土地など、水分を多く含み、軟弱な地盤の場合、地盤改良は必須です。このような地盤は、建物の重さに耐えきれず、沈下してしまう可能性が高いからです。

2. 地震時の液状化現象のリスクがある場合

地震の際、砂地盤などが揺れによって液体状になってしまう「液状化現象」。この現象が発生すると、地盤は支持力を失い、建物に甚大な被害をもたらす可能性があります。液状化のリスクが高い地域では、適切な地盤改良が求められます。

3. 不同沈下を防ぎたい場合

地盤は均一なものではなく、場所によって強度が異なるケースも。このような地盤に建物を建てると、不同沈下と呼ばれる、一部分だけが沈下する現象が起こる可能性があります。不同沈下は、建物に歪みや亀裂を生じさせる原因となるため、地盤改良によって防ぐ必要があります。

地盤改良の施工計画の立て方

地盤改良の方法は、地盤の状態や建物の規模、予算などによって異なります。そのため、最適な工法を選択し、詳細な施工計画を立てることが重要です。

1. 地盤調査の実施

まずは、地盤調査を行い、地盤の強度や特性を正確に把握することから始めます。地盤調査には、スウェーデン式サウンディング試験やボーリング調査など、様々な方法があります。

2. 工法の選定

地盤調査の結果に基づき、最適な地盤改良工法を選定します。代表的な工法には、表層地盤改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法などがあります。それぞれの工法には特徴や費用、工期が異なるため、専門家の意見を参考にしながら、慎重に選択する必要があります。

3. 施工計画書の作成

工法が決まったら、具体的な施工計画書を作成します。施工計画書には、施工方法、工程、使用材料、安全対策などが詳細に記載されます。施工計画書は、関係者間で情報を共有し、円滑な工事を行うための重要な資料となります。

地盤改良の施工事例を紹介

ここでは、具体的な地盤改良の施工事例を2つご紹介します。

【事例1】軟弱地盤対策：表層地盤改良工法

以前、住宅地として開発されたものの、長年更地のままだった土地に、新たに住宅を建設することになりました。地盤調査の結果、地盤は軟弱で、表層地盤改良工法が最適と判断されました。セメント系固化材を用いて、地盤の表層部分を改良することで、建物を支えるのに十分な強度を確保しました。

【事例2】不同沈下対策：柱状改良工法

異なる時期に造成された土地に、2階建ての住宅を建設することになりました。地盤調査の結果、地盤の強度が不均一で、不同沈下のリスクが高いことが判明。そこで、柱状改良工法を採用し、地中にセメント系固化材を柱状に注入することで、建物を支える強固な地盤を構築しました。

地盤改良は専門業者に依頼を

地盤改良は、建物の安全性と耐久性を左右する重要な工事です。専門的な知識と経験が必要となるため、信頼できる専門業者に依頼することが大切です。業者選びの際は、実績や技術力、費用などを比較検討し、最適な業者を選びましょう。

地盤改良は、建物の安全性を確保するための「見えない投資」とも言えます。安心・安全な住まいを実現するために、地盤改良の重要性をしっかりと認識し、適切な施工計画を立てていきましょう。