2023年 最新版!建設業界の動向を読み解く~中小企業が勝ち残るための戦略とは?~
「建設業界の未来はどうなる?」 「生き残るために、どんな戦略が必要なんだ?」
建設業界を取り巻く環境は、日々変化しています。特に、近年はコロナ禍や国際情勢の変化による影響も大きく、中小規模の建設業者様にとっては、先行きの不透明さに不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
しかし、変化の波はピンチであると同時に、チャンスの波でもあります。建設業界の動向を正しく理解し、時代の変化に対応していくことができれば、中小企業であっても十分に成長の波に乗ることが可能なのです。
そこで今回は、2023年最新の建設業界の動向を分かりやすく解説するとともに、中小企業が勝ち残るための戦略について、具体的な事例を交えながらお紹介します。
目次
1. 建設業界を取り巻く現状~明るい兆しと課題~
まずは、建設業界を取り巻く現状と課題について、整理してみましょう。
1-1. 明るい兆し:国土強靭化やインフラ老朽化対策による需要
建設業界全体としては、依然として厳しい状況が続いています。しかし、明るい兆しも見えてきています。例えば、政府は国土強靭化やインフラ老朽化対策に積極的に取り組んでおり、これらの政策は中長期的に建設需要を下支えすると期待されています。
1-2. 深刻化する人手不足:高齢化と若年層の不足
一方で、建設業界が長年抱えている人手不足の問題は、より深刻化しています。特に、熟練技能者の高齢化と若年層の入職者不足は、業界全体にとって大きな課題と言えるでしょう。人材不足は、建設プロジェクトの遅延やコスト増加、さらには労働災害の発生リスクを高めることにも繋がります。
このような状況を打破するために、業界全体で生産性向上や魅力向上に取り組むとともに、外国人労働者の受け入れや女性が働きやすい環境づくりなどを進めていく必要があります。
2. 2023年 建設業界の主要5大トレンド
続いて、2023年の建設業界における主要なトレンドを5つ紹介します。
2-1. DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速
近年、あらゆる業界で注目されているDXですが、建設業界においても例外ではありません。BIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)、ドローン、IoT、AIなどの導入が進んでおり、設計・施工の効率化や品質向上、コスト削減に貢献しています。特に、BIM/CIMは設計段階から施工、維持管理に至るまで、建設プロジェクトの全工程に関わる情報を一元管理できるため、情報共有の円滑化や関係者間の連携強化にも役立ちます。また、ドローンを活用した測量や点検、IoTによる建設現場の安全管理システムなど、様々な分野でDX化が進展しています。
2-2. i-Constructionの普及拡大
i-Constructionとは、国土交通省が推進する建設現場の生産性向上を目的とした取り組みです。ICTを活用することで、建設現場の調査・設計から施工、検査、維持管理までの全プロセスを効率化し、人材不足の解消やコスト削減、品質向上などを目指しています。具体的には、3次元データを用いた測量や設計、ICT建機による施工、ドローンによる検査などが挙げられます。i-Constructionの普及により、建設業界はより安全で効率的な働き方へと進化していくことが期待されています。
2-3. サステナビリティへの意識の高まり
世界的な脱炭素化の流れを受け、建設業界においてもサステナビリティへの意識が高まっています。環境負荷の低い建材や工法の採用、省エネルギー建築の設計・施工、建設廃棄物の削減など、環境に配慮した取り組みが求められています。また、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やLCCM(ライフサイクルコストマネジメント)といった概念も注目されており、建物のライフサイクル全体で環境負荷を低減する取り組みが重要視されています。
2-4. 働き方改革の推進
建設業界では、長時間労働や休日出勤が常態化しているなど、労働環境の改善が課題となっています。近年では、働き方改革関連法の施行もあり、建設業界でも労働時間の短縮や休日の取得促進、労働生産性の向上などが求められています。ICTの活用による業務効率化や、週休2日制の導入、テレワークの導入など、働き方改革に向けた取り組みが徐々に進んでいます。
2-5. 新技術の開発と導入
建設業界では、常に新しい技術の開発と導入が進んでいます。例えば、3Dプリンターを使った建築物の造形や、ロボットによる自動化施工、AIによる設計支援など、革新的な技術が次々と生まれています。これらの新技術は、建設業界の生産性向上や安全性向上、コスト削減などに大きく貢献することが期待されています。
3. 中小企業が勝ち残るための戦略~3つの成功事例~
大手企業に比べて経営資源が限られる中小企業は、自社の強みを活かし、独自の戦略を展開していくことが重要です。具体的な事例を交えながら、中小企業が勝ち残るための戦略を考えていきましょう。
3-1. ニーズを捉えた専門性の追求
地域の特性や顧客ニーズを的確に捉え、特定の分野に特化することで、大手企業にはない専門性を確立することができます。例えば、高齢化が進む地域においては、バリアフリー住宅や介護施設の建設に特化する、観光地では、伝統工法を活かした旅館やホテルの建築に特化するなど、地域のニーズに合致した専門性を磨くことが重要です。
[事例] 伝統工法に特化した建築会社 古都の景観を守るため、伝統的な木造建築の技術を継承し、寺院や神社の修復、歴史的建造物の保存修理などに特化した事業を展開。高い専門性と技術力が評価され、全国から受注を獲得しています。
3-2. ICTの積極的な導入と活用
人手不足が深刻化する中、ICTを積極的に導入し、業務効率化や生産性向上を図ることが重要です。特に、中小企業は、BIM/CIMやドローンなどの比較的導入しやすいICTツールから活用していくことが効果的です。ICTの導入によって、若手社員の育成や、魅力的な職場づくりにも繋げることが可能となります。
[事例] ドローン測量を導入した建設会社 従来の測量に比べて、短時間で高精度なデータを取得できるドローン測量を導入。人手不足の解消とコスト削減を実現し、受注拡大に成功しています。
3-3. 異業種との連携による新サービスの創出
建設業界にとらわれず、異業種と連携することで、新たなビジネスチャンスを創出することができます。例えば、IT企業と連携して、スマートホームの導入やIoTを活用した建物のエネルギー管理システムを提供する、介護事業者と連携して、高齢者向けのリフォームや住宅改修サービスを提供するなど、従来の枠組みを超えたサービス展開が求められます。
[事例] 農業と連携した建設会社 農業法人と連携し、農産物の生産から加工、販売までを行う施設の建設や、農村地域の活性化に貢献する事業を展開。建設業の枠を超えた新たなビジネスモデルを確立しています。
4. まとめ~変化を恐れず、未来を創造する~
今回は、建設業界の動向と中小企業が勝ち残るための戦略について解説してきました。建設業界は今、大きな転換期を迎えています。人手不足や環境問題、働き方改革など、様々な課題に直面する一方で、DXやi-Construction、サステナビリティといった新たな潮流が生まれています。中小企業は、これらの変化をチャンスと捉え、自社の強みを活かした戦略を積極的に展開していくことが、未来を切り拓く鍵となるでしょう。
変化を恐れず、常に新しい技術やサービスを取り入れながら、未来を創造していくことが、建設業界全体の成長、そして、持続的な発展に繋がっていくと信じています。
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