建設業の財務諸表を読み解く!黒字決算でも安心できない理由とは?
「決算月は黒字だったのに、資金繰りが苦しい…」「会社の経営状況をしっかり把握したいけど、財務諸表の見方がわからない…」
建設業を営む経営者や経理担当者の方なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?
建設業は、他の業種と比べて、「人」「モノ」「金」の動きが複雑で、財務管理が難しい業種と言われています。特に、近年は建設需要の変動や資材価格の高騰など、経営を取り巻く環境は厳しさを増しており、財務状況を正確に把握し、適切な経営判断を行うことがますます重要になっています。
そこで今回は、建設業の財務諸表の見方をわかりやすく解説します。財務諸表の基礎知識から、建設業特有の注意点、そして、黒字決算でも安心できない理由まで、具体的な事例を交えながら解説していきますので、ぜひ最後まで読んで、今後の経営にお役立てください。
財務諸表とは?3つの表で会社の「健康状態」をチェック!
財務諸表とは、企業の一定期間(通常は1年間)における経営成績や財政状態を表す書類のことです。会社の「健康診断書」のようなものと考えてください。財務諸表には、大きく分けて以下の3つの表があります。
- 貸借対照表(B/S):決算日時点における会社の「資産」「負債」「純資産」の3つの要素をまとめた表です。会社の財産状況を把握することができます。
- 損益計算書(P/L):一定期間における会社の「収益」と「費用」をまとめた表です。会社の儲け(損失)を把握することができます。
- キャッシュフロー計算書(C/F):一定期間における会社の「現金」の増減をまとめた表です。会社の資金の流れを把握することができます。
この3つの財務諸表を相互に関連づけて分析することで、会社の「健康状態」をより正確に診断することができます。
建設業の財務諸表、ここが違う! 3つのポイント
建設業の財務諸表は、他の業種と比べて、いくつかの特徴があります。ここでは、特に重要な3つのポイントをご紹介します。
1. 工事進行基準の採用
建設業では、工事が長期間にわたる場合が多いため、工事の進捗状況に応じて収益と費用を計上する「工事進行基準」が採用されています。このため、決算書上の利益が、実際に現金として回収される利益とは異なる場合があります。工事の進捗状況を正確に把握し、適切な利益計上を行うことが重要です。
2. 負債比率が高い
建設業は、工事に必要な資材や機械設備などを調達するために、多額の資金を必要とします。そのため、銀行借入などの負債が多く、負債比率が高くなる傾向があります。負債比率は、会社の財務安定性を測る重要な指標の一つであり、過剰な負債は経営リスクを高める可能性があります。
3. 資金繰りが重要
建設業は、工事が完成し、顧客から代金を受け取るまで、多額の資金を必要とします。そのため、資金繰りの管理が非常に重要です。特に、工事の着工時期や完成時期、入金時期などを適切に管理し、資金不足に陥らないように注意する必要があります。
黒字決算でも安心はできない!その理由とは?
決算書で黒字が出ているからといって、必ずしも会社が健全であるとは限りません。建設業では、以下のようなケースで、黒字決算であっても資金繰りが悪化し、経営が苦しくなることがあります。
1. 売上債権の回収遅延
工事を完成させても、顧客の都合で代金回収が遅れてしまうことがあります。売上債権が回収できない状態が続くと、資金繰りが悪化し、黒字倒産に陥る可能性もあります。
2. 過剰な設備投資
将来の需要を見込んで、過剰な設備投資を行ってしまうことがあります。設備投資は多額の資金を必要とするため、投資に見合った収益を上げることができなければ、資金繰りを圧迫する要因となります。
3. 過剰な人材採用
人材不足を解消するために、過剰な人材を採用してしまうことがあります。人件費は固定費であるため、収益に見合わない人材を抱えていると、利益を圧迫する要因となります。
まとめ:財務諸表を理解し、的確な経営判断を!
今回は、建設業の財務諸表の見方について解説しました。財務諸表は、会社の経営状況を把握するための重要なツールです。財務諸表を理解し、的確な経営判断を行うことで、会社の成長と発展につなげることができます。
特に、建設業では、工事進行基準や資金繰りの管理など、他の業種とは異なる点に注意が必要です。本記事で紹介したポイントを参考に、自社の財務状況をしっかりと把握し、健全な経営を目指しましょう。
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