【深刻化する建設業の若手不足】人材確保の鍵は?未来を築くための処方箋
「この道一筋、腕一本でやってきた」
そんな言葉が似合う、昔ながらの職人魂が息づく建設業界。しかし、近年叫ばれているのは深刻な人手不足、とりわけ若手不足という課題です。高齢化が進む一方で、若い世代の入職は少なく、現場の負担は増すばかり。この状況を打破し、未来へバトンをつなぐためには、どのような対策が考えられるのでしょうか?
若手不足の現状:建設業界の未来を揺るがす危機
国土交通省の調査によると、建設業の就業者数は2014年の約530万人をピークに減少傾向にあり、2025年には約345万人まで落ち込むと予測されています。これは単純計算で、実に185万人もの人材が不足するということです。
特に深刻なのは若年層の不足です。20代の就業者割合は全産業平均で約21%ですが、建設業は約11%にとどまります。このままでは、熟練の技術の継承が途絶え、日本のものづくり全体の衰退にも繋がりかねません。
なぜ、若者は建設業界を選ばないのか?
若手不足の背景には、建設業界のイメージが大きく影響しています。厳しい労働環境、低い賃金、休暇の少なさなどが敬遠される理由として挙げられます。実際、長時間労働や休日出勤が常態化している現場も少なくありません。また、危険を伴う作業も多いにも関わらず、他の産業と比べて賃金水準が低いことも課題です。さらに、IT化が遅れているという側面も、若者にとって魅力を感じにくい要因と言えるでしょう。
未来へつなぐために:建設業界ができること
厳しい状況が続く建設業界ですが、未来に向けて明るい兆しもあります。それは、業界全体で若手人材の確保と育成に積極的に取り組む姿勢が見られることです。国や自治体も、様々な支援制度を設けています。ここでは、建設業界が取り組むべき対策を具体的に見ていきましょう。
1. 労働環境の改善:働き方改革は待ったなし
- 長時間労働の是正:業務の効率化、適切な工期設定など、働き方改革を進めることが急務です。ICT技術の導入や、週休2日制の導入など、具体的な取り組みが求められます。
- 休暇の取得促進:有給休暇の取得を推奨し、休暇を取得しやすい雰囲気作りが重要です。夏季休暇や年末年始休暇など、長期休暇制度の導入も検討すべきでしょう。
- 賃金水準の見直し:若者にとって魅力的な賃金体系を構築するために、昇給や賞与など、待遇改善に取り組む必要があります。資格取得支援制度や、成果に応じた報酬制度の導入も有効です。
2. 建設業の魅力発信:イメージ刷新が未来を拓く
- 建設業のやりがい:街のランドマークや人々の生活を支えるインフラなど、形に残る仕事であることをアピールしましょう。社会貢献性の高さや、スケールの大きな仕事に携われる魅力を伝えましょう。
- 技術力の向上:ドローンや3Dプリンターなど、最新技術を積極的に導入し、業界のイメージを刷新しましょう。ICT化を進めることで、業務の効率化だけでなく、若者にとって魅力的な職場環境を作ることができます。
- 女性が活躍できる環境づくり:女性も働きやすい職場環境を整えることで、人材不足の解消に繋がります。女性専用設備の設置や、育児休暇制度の充実など、きめ細やかな配慮が求められます。
3. 若手育成:未来を担う人材を育てる
- 教育訓練の充実:若手社員の育成に力を入れることが重要です。資格取得支援制度や、社内研修制度などを充実させ、スキルアップをサポートしましょう。ベテラン社員の技術を継承するための、OJT制度の導入も有効です。
- キャリアパス設計:将来のキャリアプランを描けるように、明確なキャリアパスを示すことが重要です。昇進・昇格の基準を明確化し、やる気を引き出す仕組み作りが大切です。資格取得によるキャリアアップなど、成長を実感できる環境を提供しましょう。
- 働きがいのある環境づくり:若手社員が定着し、長く活躍できる職場環境作りが重要です。風通しの良い職場環境作りや、コミュニケーションを活性化させる取り組みが求められます。社員同士の交流の場を設けたり、メンター制度を導入するなど、相談しやすい環境を作ることも大切です。
まとめ:未来を創造する建設業界へ
建設業は、私たちの生活を支える、社会にとって不可欠な産業です。しかし、深刻な若手不足は、業界全体の未来を脅かす大きな課題となっています。未来へのバトンを確実に繋ぐためには、業界全体で若手人材の確保と育成に積極的に取り組む必要があります。労働環境の改善、業界の魅力発信、若手育成など、多角的な対策を講じることで、若者が夢と希望を持って働ける、魅力的な建設業界を創造していくことが、未来への希望に繋がると信じています。
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