【建設業の残業問題】適用除外となるケースと対応策を徹底解説!
「建設業では残業時間が長いのが当たり前」「人手不足で、なかなか残業を減らせない」
多くの建設業経営者が頭を悩ませているのが、残業時間の問題ではないでしょうか。しかし、長時間労働は従業員の健康を害するだけでなく、 productivity 低下や離職率の上昇にもつながりかねません。ひいては、企業の成長を阻害する要因になりかねない重要な問題です。
そこで、今回は建設業における残業時間に関する「適用除外」という制度について、わかりやすく解説していきます。適用除外制度を正しく理解し、適切な対応策を講じることで、従業員がより働きやすい環境を実現できるはずです。
そもそも残業とは?労働基準法の規定をおさらい
残業時間について考える前に、まずは労働基準法で定められた労働時間について確認しておきましょう。労働基準法では、1日の労働時間は原則8時間以内、1週間では40時間以内と定められています(労働基準法第32条)。
この法定労働時間を超えて労働させる場合、企業は従業員に対して、36協定(時間外労働に関する協定届)を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。そして、36協定に基づいて残業をさせた場合には、割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条)。
建設業における残業時間:適用除外とは?
「建設業の残業時間には適用除外がある」という話を聞いたことはありませんか?実は、建設業は労働時間の規制が他の業種と比べて緩和されている部分があり、これが「適用除外」と呼ばれています。
建設業では、天候や工程の都合などにより、労働時間が変動しやすいという側面があります。そこで、労働基準法では、建設業特有の事情を考慮し、時間外労働や休日労働に関する規定の一部を適用除外としているのです。
しかし、この適用除外制度は、建設業であれば無条件に残業時間の上限がなくなる、ということではありません。適用除外となるためには、いくつかの要件を満たしている必要があります。
建設業の残業時間における適用除外要件
建設業で残業時間の適用除外を受けるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
1. 事業の種類
適用除外となるのは、あくまで「建設事業」に限られます。建設事業とは、建築物の新築、改築、修繕、解体などの工事を行う事業を指します。
例えば、建設会社の事務職や営業職は、建設事業に従事しているとは言えません。そのため、これらの職種には適用除外は適用されず、労働基準法の規定に則って残業時間が管理されます。
2. 業務の内容
建設事業に従事している場合でも、すべての業務が適用除外となるわけではありません。適用除外となるのは、あくまで「屋外」または「常時作業に従事する者の数が少ない場所」における業務に限られます。
例えば、建設現場での作業は適用除外となりますが、事務所内での事務作業は適用除外とはなりません。また、トンネル工事など、常時多くの作業員が従事する場所での作業も、適用除外とはならないケースが多いです。
【注意】適用除外でも残業時間の上限は無限ではない!
適用除外となる条件を満たしている場合、時間外労働や休日労働に関する規定の一部が適用除外となり、残業時間の制限が緩和されます。しかし、だからといって、残業時間の上限が全くなくなるわけではありません。
適用除外の場合でも、労使間で協定を締結し、1週間について1回、4週間について4回を超えて労働させてはならないという制限があります(労働基準法第32条の2)。また、健康面への影響を考慮し、過度な残業を避けるように配慮する必要もあります。
建設業における残業時間の削減方法
建設業で残業時間を削減するためには、どのような方法があるのでしょうか?具体的な方法をいくつかご紹介します。
1. 工程管理の徹底
まずは、工程管理を徹底し、無駄な作業を発生させないようにすることが重要です。具体的には、以下の様な方法が考えられます。
- 工程表の作成・共有
- 作業の標準化・効率化
- 資材の調達管理の徹底
- コミュニケーションの円滑化
2. ICTの活用
近年、建設業界でもICTの活用が進んでいます。ICTを導入することで、業務の効率化や省人化を実現できる可能性があります。例えば、以下の様な方法があります。
- 3Dモデリングによる設計・施工の効率化
- ドローンによる測量業務の効率化
- 施工管理アプリによる情報共有の効率化
3. 労働時間管理システムの導入
労働時間管理システムを導入することで、従業員の労働時間を正確に把握し、適切な労務管理を行うことができます。また、システムによっては、残業時間の削減に向けたアラート機能や分析機能が搭載されているものもあります。適切な労務管理は、従業員の健康を守り、生産性を向上させるためにも重要です。
まとめ
今回は、建設業における残業時間の適用除外について解説しました。適用除外制度は、建設業特有の事情を考慮したものである一方、残業時間の上限が無くなるわけではありません。企業は、従業員の健康や労働環境に配慮し、残業時間の削減に向けた取り組みを進めていく必要があります。
この記事が、建設業における残業時間管理について考えるきっかけになれば幸いです。
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