【防水施工計画の基礎】成功に導く立案とポイント、事例を紹介

建物の寿命を左右する重要な要素である「防水」。その防水工事の成功を握るカギ、それが「防水施工計画」です。今回は、防水施工計画の重要性から、具体的な立案方法、押さえておくべきポイント、そして成功事例まで、わかりやすく解説していきます。

防水施工計画とは？その重要性を解説

防水施工計画とは、一言で言えば「防水工事を成功させるための設計図」です。建物の構造、規模、形状、使用する防水材、工期、予算などを考慮し、最適な施工方法を綿密に計画します。適切な防水施工計画なしに、場当たりで工事を進めてしまうと、以下のようなリスクが考えられます。

• 手戻りや施工不良の発生
• 工期の遅延
• 予算超過
• 防水性能の低下による雨漏り

このような事態を避けるためにも、防水施工計画は非常に重要と言えるでしょう。綿密な計画は、工事の効率化、品質の向上、コスト削減、そして建物の長寿命化に大きく貢献します。

防水施工計画の立案方法【7つのステップ】

防水施工計画は、以下の7つのステップに沿って進めるのが一般的です。それぞれのステップで重要なポイントを押さえながら、具体的な内容を盛り込んでいきましょう。

1. 現状調査

まずは、建物の現状を把握することから始めます。建物の規模や形状、劣化状況、既存防水層の有無などを詳細に調査します。図面だけでなく、実際に現場に足を運び、目視や触診で確認することが重要です。

2. 防水設計図の確認

設計図書をよく読み込み、防水層の仕様、納まり、使用する防水材などを確認します。不明点があれば、設計者へ確認し、疑問点を解消しておきましょう。

3. 防水工法の選定

建物の構造、劣化状況、予算、工期などを考慮し、最適な防水工法を選定します。主な防水工法には、以下のようなものがあります。

• シート防水工法
• 塗膜防水工法
• アスファルト防水工法

それぞれの工法に特徴やメリット・デメリットがありますので、比較検討し、最適な工法を選びましょう。

4. 防水材の選定

防水工法が決まったら、使用する防水材を選定します。防水材には、ウレタン系、FRP系、シート系など、様々な種類があります。それぞれの防水材の特徴や性能、耐久性、価格などを比較し、最適なものを選びましょう。

5. 施工方法・工程の検討

防水工法や防水材が決まったら、具体的な施工方法や工程を検討します。施工手順、使用する工具や機材、必要な人員などを明確化し、効率的かつ安全な施工計画を立てます。

6. 安全対策

防水工事は、高所作業や危険な薬品を使用する作業も含まれます。安全対策は非常に重要です。足場設置、安全帯の使用、作業員の安全教育などを徹底し、事故やトラブルの発生を未然に防ぎましょう。

7. 工程表・人員計画の作成

最後に、具体的な工程表と人員計画を作成します。各工程にかかる時間、必要な人員数、資材の搬入日などを明確化し、スムーズな施工を実現します。

防水施工計画のポイント

防水施工計画を立てる上で、特に重要なポイントは以下の3点です。

1. 現状に最適な工法・材料を選ぶ

防水工法や防水材は、建物の構造や劣化状況、周辺環境によって最適なものが異なります。安易に工法や材料を選定するのではなく、現状を正しく把握し、最適なものを選択することが重要です。

2. 詳細な工程・手順を明確にする

防水工事は、下地処理から仕上げまで、様々な工程があります。それぞれの工程で、どのような作業を、どの順番で行うのか、詳細な手順を明確にしておくことが、手戻りや施工不良の防止につながります。

3. 安全対策を徹底する

防水工事は、高所作業や危険な薬品を扱う作業も含まれます。安全対策を軽視すると、重大な事故につながる可能性もあります。安全帯の使用、足場の設置、作業員の安全教育などを徹底し、安全な作業環境を整えましょう。

防水施工計画の成功事例

ここでは、具体的な防水施工計画の成功事例を紹介します。

【事例】築30年のRC造マンションの屋上防水改修工事

課題：既存防水層の劣化が激しく、部分的な雨漏りも発生。大規模修繕工事の期間内に、確実に防水性能を確保する必要があった。

対策：

• 現状調査の結果、既存防水層の撤去が必要と判断。工期短縮のため、機械撤去を採用した。
• 防水工法には、耐久性・施工性に優れたウレタン塗膜防水を採用。入念な下地処理を行い、防水層の密着性を高めた。
• 工程管理を徹底し、天候不良にも対応できるよう、余裕を持った工程計画を作成した。

結果：工期内に工事を完了し、高い防水性能を確保。施主様にも大変喜んでいただけた。

まとめ

防水施工計画は、建物の寿命を守る上で非常に重要なプロセスです。今回ご紹介した内容を参考に、建物の状況、予算、工期などを考慮し、最適な防水施工計画を立案しましょう。そして、建物の資産価値を守り、長く快適に過ごせる空間を創造していきましょう。