施工計画書の作成手順を徹底解説！【流れ・ポイント・注意点】

「よし、いよいよあの建設プロジェクトに着手だ！」と、意気込んでいるあなた。しかし、ちょっと待ってください。あなたは“施工計画”の準備は万端ですか？

施工計画は、建設プロジェクトの成功を左右する“設計図”のようなもの。家を建てるにも、旅行に行くにも、事前の計画が大切であるように、建設プロジェクトにおいても、この施工計画が欠かせません。今回は、特に中小規模の建設業者様向けに、施工計画書作成の流れとポイント、注意点をわかりやすく解説していきます。

施工計画とは？その重要性をわかりやすく解説

施工計画とは、一言でいうと「いつ、誰が、どこで、どのように工事を行うか」を具体的に決めた計画書のことです。工事の進め方や安全対策、品質管理など、プロジェクトの成功に必要なあらゆる要素を網羅します。

「施工計画なんて面倒だ」「今まで経験と勘でやってきたから大丈夫」そう思っていませんか？しかし、施工計画をないがしろにすると、以下のようなリスクが潜んでいます。

• 工程の遅延：作業の順番や人員配置が適切でないと、工事が滞り、遅延が発生する可能性があります。
• コストの増加：工程の遅延は、人件費や資材費の増加に直結します。また、手戻り作業が発生した場合も、コスト増を招きます。
• 品質の低下：適切な品質管理がなされないと、施工不良が発生し、手直しが必要になる可能性があります。
• 事故の発生：安全対策が不十分だと、作業員が危険にさらされ、事故が発生するリスクが高まります。

施工計画をしっかりと立てることで、これらのリスクを未然に防ぎ、プロジェクトをスムーズに進めることができるのです。

【図解付き】施工計画書作成の流れを８ステップで解説

それでは、実際に施工計画書を作成する際の流れを８つのステップに分けて解説していきます。今回は、例として「マンション建設」を想定して進めていきましょう。

ステップ１：工事概要の把握

まずは、建設する建物の規模や構造、工期、予算など、基本的な情報をしっかりと把握しましょう。この段階では、設計図書や仕様書などを確認することが重要です。

【マンション建設の例】

• 規模：地上10階建て、総戸数50戸
• 構造：鉄筋コンクリート造
• 工期：18ヶ月
• 予算：〇億円

ステップ２：現地調査の実施

机上の計画だけでは、現場の状況にそぐわない場合もあります。実際に現場に足を運び、周辺環境や地盤状況などを確認しましょう。例えば、狭い道路や近隣住民への配慮が必要な場合は、その点を考慮した計画を立てる必要があります。

【マンション建設の例】

• 周辺道路の幅員、交通量
• 近隣住民への騒音、振動対策の必要性
• 地盤の強度、地下水位

ステップ３：工程計画の作成

工事全体をいくつかの工程に分割し、それぞれの工程の開始・終了時期を設定します。この工程表を作成することで、工事全体の進捗状況を把握しやすくなるだけでなく、人員や資材の手配などもスムーズに行えるようになります。

【マンション建設の例】

• 基礎工事：〇ヶ月
• 躯体工事：〇ヶ月
• 内装仕上工事：〇ヶ月
• 外構工事：〇ヶ月

ステップ４：作業計画の作成

各工程をさらに細かい作業に分解し、それぞれの作業に必要な人員、資材、機材、時間などを具体的に決定します。作業の順番や手順を明確にすることで、作業効率の向上とミス防止に繋がります。

【マンション建設の例：基礎工事】

• 地盤改良工事：〇日間、作業員〇名、重機〇台
• 掘削工事：〇日間、作業員〇名、重機〇台
• 鉄筋組立工事：〇日間、作業員〇名
• コンクリート打設工事：〇日間、作業員〇名、コンクリートポンプ車〇台

ステップ５：資材・機材計画の作成

必要な資材・機材の種類、数量、調達方法、搬入経路などを計画します。資材の調達先や納期、機材のレンタル会社との契約などもこの段階で行います。適切な資材・機材の調達は、工事の遅延を防ぐために重要です。

【マンション建設の例】

• 鉄筋：〇トン、〇〇鉄鋼から調達
• コンクリート：〇〇m³、〇〇生コンから調達
• クレーン車：〇〇レンタルからレンタル

ステップ６：人員計画の作成

各作業に必要な人員の確保、配置を行います。それぞれの作業に適したスキルや経験を持った作業員を配置することで、品質の確保と作業効率の向上が見込めます。また、作業員の確保が難しい場合は、協力会社へ依頼することも検討しましょう。

【マンション建設の例】

• 基礎工事：鉄筋工〇名、型枠大工〇名、コンクリート工〇名
• 躯体工事：鉄筋工〇名、型枠大工〇名、コンクリート工〇名、クレーンオペレーター〇名

ステップ７：安全対策の検討

工事現場では、常に事故のリスクが伴います。作業員が安全に作業できるよう、足場、安全ネットの設置、安全教育の実施など、必要な安全対策を検討しましょう。関係法令に基づいた対策を講じることはもちろん、現場の状況に合わせた対策も重要です。

【マンション建設の例】

• 高所作業時の安全帯使用の徹底
• 足場の定期的な点検、補修
• 作業開始前のKY活動（危険予知活動）の実施

ステップ８：品質管理計画の作成

工事の品質を確保するために、検査項目、検査基準、検査方法などを定めます。施工中に定期的な検査を実施することで、施工不良を早期に発見し、手直しを最小限に抑えることができます。

【マンション建設の例】

• 鉄筋の径、間隔、かぶりの検査
• コンクリートの強度試験
• 仕上げの寸法、精度、外観の検査

施工計画作成における３つの注意点

ここまで、施工計画書作成の流れを８つのステップに分けて解説してきました。最後に、施工計画を作成する上での注意点を３つご紹介します。

１. 関係者との連携を密に

施工計画は、現場監督や作業員だけでなく、設計者、発注者など、様々な関係者と共有し、連携していくことが重要です。密なコミュニケーションを図ることで、誤解や手戻りを防ぎ、スムーズな工事の進捗に繋がります。

２. 柔軟な対応を心がける

施工計画は、あくまでも計画であり、実際に工事を進めていく中で、予期せぬ事態が発生することもあります。天候の変化、資材の納期遅延、事故の発生など、様々なリスクを想定し、柔軟に対応できる体制を整えておくことが大切です。

３. 経験を活かして改善を

一度作成した施工計画が完璧であるとは限りません。工事の進捗状況や発生した問題点を記録し、次回の施工計画に活かしていくことが重要です。経験を重ねるごとに、より精度の高い、効果的な施工計画を作成できるようになるでしょう。

まとめ｜施工計画を制するものは、工事を制す

今回は、施工計画書作成の流れとポイント、注意点を解説しました。施工計画は、建設プロジェクトの成功を左右する重要なプロセスです。しっかりと計画を立て、関係者と連携しながら、安全かつ効率的に工事を進めましょう。

今回の記事が、これから施工計画を作成する方の参考になれば幸いです。