【建設業必見】工事施工計画書の効果的な作成方法｜サンプル例も紹介

建設工事において、施工計画書の作成は欠かせないプロセスです。しかし、いざ作成しようとすると、「何から書き始めればいいのかわからない」「時間がないのに、複雑な書類を作成するのは大変」と感じることもしばしばではないでしょうか？

本記事では、中小規模の建設業者様向けに、工事施工計画書の作成方法をわかりやすく解説します。具体的な内容、作成手順、そして実際のサンプル例も交えながら、円滑な工事遂行のために欠かせないポイントを丁寧に紐解いていきます。ぜひ、最後までお読みいただき、今後の業務にお役立てください。

工事施工計画書とは？その重要性を解説

工事施工計画書とは、着工前に「どのように工事を進めるか」を具体的に計画した書類です。いわば、工事の設計図と言えるでしょう。安全かつ効率的な工事の実施、関係者間の認識統一、そして工事の品質確保という重要な役割を担っています。

具体的には、以下の内容を記載します。

• 工事の概要（工事名、発注者、施工場所など）
• 工事工程表（工程の全体像、各工程の開始・終了時期など）
• 施工方法（具体的な作業手順、使用機械、資材など）
• 品質管理計画（品質基準、検査方法など）
• 安全管理計画（安全対策、リスクアセスメントなど）
• 環境保全計画（環境負荷低減対策など）

工事施工計画書を作成することで、以下のメリットがあります。

• 工事関係者間での情報共有、認識の相違によるトラブル防止
• 工程の明確化による、工期遅延や手戻りのリスク軽減
• 適切な安全対策による、労働災害の防止
• 品質基準の明確化による、高品質な工事の実現
• 環境負荷への配慮による、地域社会との調和

【具体例で解説】工事施工計画書の作成手順

ここでは、具体的な作成手順を４つのステップに分け、解説します。

ステップ１：基礎情報の収集

まずは、工事に関する基本的な情報を集めます。具体的には、以下の情報を確認しましょう。

• 契約書：工事の内容、工期、請負金額などを確認
• 設計図書：構造、仕様、寸法などを確認
• 現場状況：周辺環境、作業スペース、地盤状況などを確認
• 関連法規：建築基準法、労働安全衛生法など、遵守すべき法令を確認

ステップ２：工程計画の作成

次に、工事全体の工程表を作成します。工程表には、以下の要素を含めるようにしましょう。

• 作業項目：具体的な作業内容を記載
• 開始・終了日：各作業の開始日と終了日を明確に設定
• 担当者：各作業の責任者を明確化
• 必要日数：各作業にかかる日数を算出
• 関連作業：他の作業との関連性を明確化

工程計画は、工事全体の進捗を管理する上で非常に重要です。ガントチャートなどを活用し、視覚的にわかりやすく作成することがポイントです。

ステップ３：施工方法・安全対策の検討

各工程における具体的な施工方法を検討します。使用する機械、材料、人員などを明確にし、安全かつ効率的な作業手順を確立します。同時に、想定されるリスクを洗い出し、具体的な安全対策を盛り込みましょう。

• 施工方法の選定：安全性、効率性、コストなどを考慮し、最適な施工方法を選定
• 使用機械・材料の選定：作業内容に適した機械や材料を選定
• 人員計画：必要な人員を確保し、適切な作業配置を検討
• 安全対策：KYT（危険予知訓練）などを実施し、潜在的なリスクを洗い出す
• リスクアセスメント：リスクの重大性に応じて、対策の優先順位を決定

ステップ４：書類の作成・提出

収集した情報、作成した工程表、施工方法などを基に、工事施工計画書を作成します。必要に応じて、図面や写真などを添付し、わかりやすく説明を加えることが重要です。作成後、発注者や関係機関に提出し、承認を得るようにしましょう。

工事施工計画書作成のポイント

より効果的な工事施工計画書を作成するためのポイントを3つご紹介します。

ポイント１：関係者との連携を密に

工事施工計画書は、関係者間で情報を共有し、合意形成を図るための重要なツールです。作成段階から、発注者、設計者、協力会社など、関係者と密に連携し、意見交換を行うようにしましょう。コミュニケーションを密にすることで、計画の精度を高め、スムーズな工事遂行に繋げることができます。

ポイント２：現場の状況を考慮

工事現場の状況は千差万別です。周辺環境、作業スペース、地盤状況などを考慮し、現実的な計画を立てることが重要です。例えば、狭隘な現場では、大型機械の搬入が難しい場合もあります。現場の制約を考慮し、適切な施工方法や工程を検討する必要があります。

ポイント３：定期的な見直し

工事は、計画通りに進まないこともしばしばです。天候不良、資材の納入遅れ、予期せぬトラブルなど、様々な要因で計画変更が必要となる場合があります。定期的に計画を見直し、状況の変化に柔軟に対応できる体制を整えておくことが重要です。進捗状況や問題点を共有し、必要に応じて計画を修正することで、工期の遅延や品質低下を防ぐことができます。

【サンプル例あり】工事施工計画書の書き方

ここでは、一般的な工事施工計画書の構成と、各項目の記載例を具体的にご紹介します。ただし、工事の内容や規模によって、記載項目や様式が異なる場合がある点は留意してください。

1. 工事概要

まずは、工事の基本情報を記載します。

項目	記載例
工事名	○○ビル新築工事
発注者	○○株式会社
設計者	△△設計事務所
施工者	株式会社□□建設
工事場所	○○市○○町1-2-3
工事期間	2024年○月○日～2025年△月△日
請負金額	○○○○万円

2. 工事工程表

工事全体の工程をわかりやすく示します。ガントチャートなどを用いると、視覚的に表現することができます。

3. 施工方法

各工程における具体的な作業手順や使用材料などを記載します。

工程	作業内容	施工方法	使用機械・材料	留意事項
基礎工事	掘削	バックホウを用いた掘削	バックホウ、転圧機	地盤の状況に注意する
基礎工事	鉄筋組立	設計図に基づき鉄筋を組立	鉄筋、結束線、ハッカー	鉄筋のピッチ、かぶり厚さを確認する
基礎工事	コンクリート打設	コンクリートポンプ車を用いた打設	コンクリートポンプ車、バイブレーター	コンクリートの品質に注意する

4. 品質管理計画

品質確保のための検査項目や基準などを明確にします。

工程	検査項目	検査基準	検査方法	頻度	担当者
基礎工事	鉄筋の配筋間隔	設計図通り	目視、スケール計測	1回/日	現場代理人
基礎工事	コンクリートの強度	設計基準強度以上	コンクリートテストハンマーによる測定	7日、28日強度	現場代理人

5. 安全管理計画

労働災害防止のための具体的な対策を記載します。KYT（危険予知訓練）などを実施し、潜在的なリスクを洗い出し、対策を検討します。

作業工程	想定される危険	具体的な対策	担当者
掘削作業	土砂崩壊による労働者への危害	土留め支保工の設置 斜面の安定勾配の保持 作業区域への立入禁止措置	現場代理人
高所作業	墜落・転落による労働者への危害	安全帯の着用 足場の設置 安全ネットの設置	現場代理人

6. 環境保全計画

騒音、振動、粉塵など、周辺環境への影響を最小限に抑えるための対策を記載します。

環境影響	具体的な対策	担当者
騒音	低騒音型建設機械の使用 防音シートの設置 作業時間帯の配慮	現場代理人
振動	低振動型建設機械の使用 防振シートの設置 建物との距離の確保	現場代理人

まとめ

工事施工計画書は、安全で効率的な工事、そして高品質な建物を提供するために欠かせないものです。本記事で紹介した内容を参考に、工事の内容に最適な計画書を作成し、プロジェクトを成功に導きましょう。

ただし、工事の内容や規模、発注者からの要求によって、記載項目や様式が異なる場合があります。事前に十分な確認を行い、疑問点があれば、専門家に相談することをおすすめします。