【具体例で理解】建設業者がファクタリングを活用するメリットと注意点

建設業界では、資材の高騰や人手不足など、厳しい経営環境が続いています。資金繰りの悪化に悩む企業も多いのではないでしょうか？

そんな厳しい経営環境を乗り切るための有効な手段として、「ファクタリング」が注目されています。ファクタリングとは、簡単に言うと「売掛金を早期に現金化するサービス」のことです。しかし、言葉だけではイメージが掴みにくく、実際にどのように役立つのか疑問に思う方もいるかもしれません。

そこで今回は、建設業におけるファクタリングの仕組みやメリット、注意点などを、具体的な事例を交えながらわかりやすく解説していきます。資金繰りの改善に頭を悩ませている経営者の方々は、ぜひ参考にしてみてください。

建設業におけるファクタリングの仕組み

まずは、ファクタリングの基本的な仕組みについて確認しておきましょう。ファクタリングには、主に「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、ファクタリング会社が取引先に知られることなく、資金調達ができる方法です。資金調達までの流れは以下の通りです。

1. 建設会社は、ファクタリング会社に対して売掛債権を売却する
2. ファクタリング会社は、売掛債権の審査を行い、買取金額を決定する
3. ファクタリング会社は、買取金額から手数料を差し引いた金額を建設会社に支払う
4. 建設会社の取引先が、ファクタリング会社に売掛金を支払う

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、取引先にファクタリングの利用を伝える必要がある点が、2社間ファクタリングとの違いです。資金調達までの流れは以下の通りです。

1. 建設会社は、ファクタリング会社と契約を締結し、取引先にファクタリングの利用を伝える
2. ファクタリング会社は、売掛債権の審査を行い、買取金額を決定する
3. ファクタリング会社は、買取金額から手数料を差し引いた金額を建設会社に支払う
4. 建設会社の取引先が、ファクタリング会社に売掛金を支払う

ファクタリング具体例：A社の場合

それでは、具体的にどのようなケースでファクタリングが活用できるのか、A社を例に見ていきましょう。

A社は、従業員数20名ほどの規模で、公共工事や民間工事などを請け負っている建設会社です。近年は、受注は順調に推移しているものの、入金が60日後と遅いため、資金繰りに課題を抱えていました。特に、人材不足が深刻化している建設業界では、従業員に給与を遅配してしまうと、退職してしまうリスクも考えられます。そこでA社は、従業員に安心して働いてもらうためにも、ファクタリングの利用を検討し始めました。

A社は、取引先に知られることなく資金調達ができる2社間ファクタリングを利用することにしました。ファクタリング会社に相談したところ、売掛債権の買取率は90%で、手数料は3%と提示されました。A社は、1000万円の売掛債権をファクタリング会社に売却することにしました。手数料は30万円（1000万円×3%）となり、A社は970万円（1000万円−30万円）を即日受け取ることができました。その結果、A社は従業員への給与の支払いを遅延することなく、資金繰りの安定化を実現することができました。

建設業者がファクタリングを活用するメリット

A社の事例を通して、ファクタリングには具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

1. 資金繰りの改善

ファクタリングの最大のメリットは、売掛金を早期に現金化することで、資金繰りを改善できる点にあります。建設業は、多額の運転資金が必要となるため、資金繰りの悪化は死活問題です。ファクタリングを活用すれば、資金繰りの不安を解消し、事業の安定化を図ることができます。

2. 柔軟な資金調達

ファクタリングは、銀行融資と比較して、審査が柔軟で、スピーディーな資金調達が可能というメリットもあります。銀行融資の場合、企業の信用力や担保などが審査対象となりますが、ファクタリングは売掛債権を担保とするため、比較的審査が通りやすい傾向にあります。また、申し込みから資金調達までの期間も短く、最短で即日というケースもあります。

3. 経営資源の集中

ファクタリングを利用することで、売掛金の回収業務を外部に委託することができるため、事務作業の負担を軽減できます。その結果、経営資源を本業に集中させることができ、事業の成長を促進することに繋がります。

ファクタリングを利用する際の注意点

多くのメリットがあるファクタリングですが、利用する際には、以下の点に注意が必要です。

1. 手数料

ファクタリングを利用する際には、手数料が発生します。手数料は、ファクタリング会社や契約内容によって異なりますが、一般的には売掛債権の2〜10%程度が相場です。ファクタリングを利用する際は、手数料をしっかりと確認しておくことが大切です。

2. 悪質なファクタリング会社

ファクタリング業界には、法外な手数料を請求したり、悪質な勧誘行為を行う業者も存在します。ファクタリング会社を選ぶ際には、金融庁に登録されているか、信頼できる会社かどうかを見極めることが重要です。相談できる窓口があるかどうかも確認しておきましょう。

まとめ

今回は、建設業におけるファクタリングの仕組みやメリット、注意点などを具体例を交えながら解説しました。ファクタリングは、資金繰りの改善や経営の効率化に役立つ有効な手段です。しかし、利用する際には、手数料やファクタリング会社選びなど、注意すべき点もいくつかあります。ファクタリングのメリット・デメリットを理解した上で、自社の経営状況に合わせて、適切に活用していくようにしましょう。